第50回　西遊記(TVドラマ)で孫悟空が出した小便の量は何kLか?

問題のシーンは第2巻(温泉の国)にある。

猪八戒が温泉で煮られそうになるところに、悟空が温泉の中に放尿。
温泉が瞬く間に黄色になる　―　というシーンだ。

では、悟空の尿中の成分の10％が「黄色い物質」であるとしよう。
温泉で薄まる以上、濃度の低下は避けられない。

あの温泉の湯の推定体積は25kL。
この湯によって、10％から8％に黄色が薄まったとすると、

なんと、100kL!!

これじゃあ、敵が「愚かな」などといっている場合ではない!
100キロリットル(=10⁵リットル)とは、水で言うと100t! (10万kg)
黄色い成分が溶けているから100tより重いはずだ。

待て待て。大事なことを忘れていた。孫悟空の尿は「尿道」を通ってきたのだ。
孫悟空は猿で、身長も人間と同じくらいなので、体の構造は人間と似ていると考えよう。
ある調査では、人間の尿道出口付近の断面積は、放尿時には平均で1.10〜1.41cm² になるらしい。
ここでは、計算をしやすくするため、1.25cm² = 1.25×10^-4m² と考えよう。

放尿場面では、温泉が真っ黄色になるまでに、それほどの時間がかかったとは思えない。そもそも放尿というのは、それほど長時間続くものではないので、ここでは20秒と仮定しよう。
すると、100kL = 100m³ の液体が20秒で流れたので、流量は 100÷20= 5[m³/s] となる。

流量 = 流速×断面積 なので、孫悟空の尿の流速は、5÷(1.25×10^-4) = 4×10⁴ [m/s] (=マッハ118 !!!)
これは凄い!! 第二宇宙速度を上回っているので、空に向かって放尿すれば地球の重力を振り切って飛んでいく!!

また、1秒間に出る尿量は5000kgなので、運動エネルギーは1秒当たりでは、
(1/2)×5000[kg]×(4×10⁴[m/s])² = 4×10¹² J !!! これは長崎原爆の20分の1のエネルギーに相当する!!

また、1秒当たりの運動量は、5000[kg]×4×10⁴[m/s] = 2×10⁸ [kg・m/s]
よって、力の大きさも 2×10⁸ [N] になる。
これを下に向けて吹き出せば、2×10⁷kg(2万トン)の物体を浮き上げさせることができる。
つまり、悟空は放尿だけで宇宙旅行ができるのだ!!
これを敵にぶつけていれば、一発で勝っていた!!

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