第74回 「世にも奇妙な物語」の検証

「世にも奇妙な物語」の検証をしてみよう。


2007年10月2日

カウントダウン

ある日突然校庭に机で「9」の文字が現れるところからスタートした。
最終的には、机がひとりでに浮いて動いていたことが判明したが、あの机の浮く原理は何だろうか。
とりあえず電磁気力なら可能性がありそうである。

机1台の質量は10kg、全部で100台あったと考えよう。合計質量は1tで、これを浮かべるのに必要な力は9800Nだ。
これに必要な電圧は、まさかの701754386V!! ここまで強いと、みんなが避難したのは正解だった。


2008年4月2日

透き通った一日

北乃きいがでていた作品。これは見ていて実に不思議であった。
主人公の純子は、壁は通り抜けるのに、なぜ床や地面は通り抜けない?
同じような疑問が、柳田理科雄の「空想科学映画読本2」にもあった。
空想科学映画読本2に書かれているように、物体は重さにかかわらず、たとえ質量が0でも同じ速さで落下する。
また、物体に触れることができず、相互作用できないような体質ならば、音や光とも相互作用できず、見ることも聞くこともできない。
にもかかわらず、周りが見え、音が聞こえ、しかも地面を通り抜けなかったのは、2通りの理由が考えられる。

  1. 重力子を一切受け付けず、地球の重力が伝わらないため
  2. 何らかの原理で反重力を出している
  3. 上下方向に対してのみ相互作用し、前後や左右については相互作用しない
  4. 4次元的にずれていて、我々の3次元空間から、ほんの素粒子1個の直径より小さいくらい離れている。

まず、1は、光や音を感ずることも可能だが、そうならば壁をすり抜けず、周りの人から見える。
周りから見られないと言うことは光子と相互作用できず、やはり本人も見えないことになる。
それに1人だけ無重力に漂っていたらそれこそ不審だろう。

2は、やはり重力を打ち消してしまうので、無重力状態で浮かんでしまう。また、地球の自転や公転に取り残されて宇宙に飛び出してしまう。

3は、いくら何でも無理がある。人間は地面に沿って2次元的に生きているため、上下方向と、前後左右を切り離して考えたくなるのが人情だが、数学的には上下、前後、左右はいずれも対等である。

4は可能性としてはありそうだ。4次元方向へのずれ方によって、上下だけ相互作用し、前後と左右には相互作用するという技も可能になる。しかも、重力子は3次元のブレーンを離れて4次元空間も伝わることができる
おお、あり得るぞ。

と、一時的に喜んだが、4次元宇宙は光子が伝わらない。
しかし、純子が重力子を受け取って、それを元に原子の動きを推測し、映像を組み立てられるのなら、光子が伝わらなくても全然問題ないことになる。
予想外に科学的だった。


2009年3月30日

爆弾男のスイッチは物理のテスト??

市原隼人が出ていた作品。本郷奏多演じる織田省吾の体内に爆弾が仕掛けられていると言うが、…

ネットで説明されていた爆弾の威力は3マイクロトン。これはジュールに換算すると、1.26×104J !!
威力が少なすぎる!!カール・ルイスが3回衝突するエネルギーほどだ。

劇中では「最近の若者はネットの情報を鵜呑みにする」と言うことが問題にされていた。
しかし、筆者が思うに、実は鵜呑みにした方が良かったのである。
3マイクロトンとは、爆弾にしてはエネルギーが小さすぎる。つまり、爆発しても影響なし、と言うことだ。
だから、物理の知識さえあれば良かったという話
つまり、あの話の教訓は、「ちゃんと物理を勉強しよう!」と言うことだったのだ。

輪廻の村は4年で崩壊する

伊東美咲が出ていた作品。「鈴音村」という謎の村が舞台なのだが、…

次に調査に行った人も結局生き埋めにされたのだろうか?
だとしたらとんでもないことになる。

次の調査者が来たのは、周りの様子(カメラがさびていないなど)から判断すると1日後くらいだろう。
すると、次の調査者も埋められ、その次も…

1年後には合計365人が埋められたことになる。あの墓場は拡張されるだろう。4年で1461人。
ここまで死んだら流石にみんな怪しむだろうし、暴動が起きないとも限らない。
輪廻の村は4年後には確実に崩壊する。

※次の調査者以降、その次が2人、4人、8人、と倍々で増えていくならば、27日で日本の人口全滅。

「クイズ天国 クイズ地獄」を制作するだけで2億円以上!?

石原良純が出ていた作品。
どうやら、「クイズ天国 クイズ地獄」は「ドッキリカメラ」的な番組のようだ。
しかし、あれだけ大規模なドッキリは成功するだろうか?

ターゲット1人のために、仕掛け人は、ターゲット以外の関東7都県の住民全員(4500万人)。
まず、協力してもらうために周知徹底が重要だ。しかも、ターゲットに知られてはならない。

2006年のデータでは、関東地区には合計676の駅がある。
その中には東京駅、新宿駅、上野駅のような巨大ターミナル駅もある。
だから、周知徹底ポスターは1駅平均10枚は貼る必要があるだろう。
ポスター1枚当たり10円ならば、これの費用は合計10×10×676=67600円。意外にこれは安い。

しかし、関東地区の全住民4500万人に、直接周知徹底チラシを配る必要がある。
1世帯平均2人とすると、合計金額は225000000円。

直接仕掛けを行う人は1万人ほど必要だ。全員の時給を800円とするならば、合計8000000円。

よって、「クイズ天国 クイズ地獄」を制作するには、
67600 + 225000000 + 8000000 = 233067600円!!
この不景気時代に、2億3千万とは何事か。と言うほどだ。


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