第102回　宇宙に靴を飛ばす方法

aikoの曲の「ボーイフレンド」の歌詞に、「宇宙に靴飛ばそう」というフレーズがある。
では実際に宇宙に靴を飛ばすためには、どうすればよいのであろうか。

地球も宇宙の一部だから、地表で靴を飛ばしていても、「宇宙に靴を飛ばしている」といえるかもしれないが、やはり手の届く距離を飛んでいるのでは、「宇宙まで飛んだ」というイメージには程遠い。

かつて「トリビアの泉」でも紹介されたが、地球大気と宇宙空間の境界は、「地表面から100km」と定められている。
ここよりも高く靴を飛ばせば、「宇宙に靴を飛ばしている」と言っても良いだろう。

だとすると、ここまで靴を飛ばすには、どうすればよいだろうか。

靴の質量は 500g としよう。
これを地表面から100kmまで持って行くために必要なエネルギーは、4.9×10⁵ J である。
このエネルギーは、ラーメン1杯の熱量(3.4×10⁶ J)よりも少ない。ほんとうに、たったこれだけのエネルギーで、宇宙に靴を飛ばすことは可能なのだ。

しかし、言うは易く行うは難し。膝の曲げ伸ばしだけでこの現象を起こすためには、膝の長さが平均の42.9cmだとすると、靴を加速するのに使える距離は、42.9×3.14 = 135cm。
この距離で加速するために必要な力は、3.6×10⁵ N = 37t。

つまり、足で37tの力を出せる人は、宇宙に靴を飛ばすことが、可能である。

戻る