第106回 古戸久子の念力の強さはどれくらいか
TBSのTVドラマ「SPEC」の第4話(丁の回)の登場人物、古戸久子。
この人は、なんと念力が使えるのだ。
いったい、どのくらいの強さなのだろうか。
※第4話のあらすじ (Yahooテレビより)
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未詳に「自殺者遺族ネットワーク」の顧問弁護士、古戸久子（奥貫薫）がやってくる。自殺サークルに入り1年前に自殺したはずの娘、美智花（三浦由衣）から「幹事に殺される。助けて」とのメールが届いたと、久子は言う。自殺サークルにいる殺人マニアから逃げているのではないかというのだ。美智花が参加したそのサークルでは、ある仕掛けで生き残った1人が"幹事"となり、遺体処理と遺品の配送、次の集会の準備をする決まりだという。瀬文（加瀬亮）らは久子と遺族を訪ね、遺品を集める。当麻（戸田恵梨香）は"幹事"に近づくため、サークルに応募する。 |
「バイクのクラッチレバーを念力でへし折った」という描写から考えてみよう。
クラッチレバーの素材はアルミ、断面積は1cm2と考えられる。
これを剪断するのに必要な力は、2.57×106 N である。
普通、念力を持っていない人でも、断面積が1cm2のアルミの棒をへし折るには、握力が少なくとも262トン必要である。
それを古戸は、それを念力でやってのけたのである。どんだけ力持ちやねん!!
しかも、古戸からこのバイクまでの距離は、少なく見積もっても50m(※1)はあっただろう。
これは集中力が凄すぎる。
あなたは、50m先に置かれた直径1cmのビー玉を、銃で撃ち抜くことができますか?
射的の名手以外はおそらくそんなことはできないだろう。
さらに凄いことに、バイクは走っていたのだ。
射的の名手の皆さん、50m先で動いている直径1cmのビー玉を、銃で撃ち抜くことができますか?
第79回でも述べたとおり、念力の強さは距離の2乗に反比例すると考えられる。
よって、古戸は1m先の目標に対してなら、少なくとも 6.425×109 N の力を発揮できるのだ。
1mという至近距離なら、6.556×108 kg、つまり66万トンの物体を持ち上げられる。
電車はもちろん、東京タワーも、ゴジラも、WTCのような超高層ビルをも持ち上げられるのだ。
これはもはや、念力を持っていると言うよりも、超怪力を持っているといった方が良いのではないだろうか?
どんな監獄に閉じ込めても、きっと意味ないだろう。というか、そんなことができるならいっそバイクごと(ry
ところが、警視庁の未詳で追い詰められた古戸久子は、念力で応戦しようとした。
その結果、当麻は突き飛ばされ、室内はめちゃくちゃになった。だが、めちゃくちゃになるだけだったのである。
古戸が本気を出していたなら、おそらく警視庁のビルは全壊、いや、それどころではなく、都内を中心に多数の建物が倒壊したり、ガラスが割れたりするなどの被害が出ていただろう。そう考えれば、古戸は本気を出さず、本来出せる力の1000万分の1(※2)くらいしか出していなかったとみられる。
実は、古戸はいい人だったのか…?
あるいは体調不良で、出せる念力の強さが1000万分の1となっていたのか…?
それとも、古戸は1方向にしか念力を発動できないのか…?
せっかくなので、古戸久子の念力から逃れるためには、どのくらい離れれば良いか考えてみよう。
あくまでも、バイクのクラッチレバーをへし折ったときに発揮したのが古戸が最大限に出せる念力だったと仮定する。
その場合、念力の大きさが0.1N以下となるには、念力の強さは距離の2乗に反比例することを利用して計算する(※3)と、
なんと253km以上離れなければならない。
古戸久子から半径253kmの範囲内には、おそらく避難勧告が出るに違いない。(下図)
これはゴジラよりも恐ろしい...。
※脚注